日産の新型EVのイメージ

 日産自動車は17日、米ミシシッピ州のキャントン工場に5億㌦(約575億円)を投資し、2025年から日産とインフィニティの両ブランドの新型電気自動車(EV)を生産すると発表した。最新のEV生産技術を導入し、EV2モデルを生産する。30年までにグローバルで15車種のEVを含む23車種の電動車の投入を目指す「ニッサンアンビション2030」の一環。米国ではテネシー州のスマーナ工場でEV「リーフ」を生産しているが、キャントン工場でEVを生産するのは初めて。

 キャントン工場を米国におけるEVの製造と技術の中心拠点と位置付ける。最新のEV生産技術を導入するほか、栃木工場で採用した多様なモデルを柔軟に造り分ける「パワートレイン一括搭載システム」などの生産技術「ニッサンインテリジェントファクトリー(NIF)」の考え方を取り入れる。25年から日産とインフィニティの両ブランドの新型EVを計2モデル生産する。

 同工場で働く5千人以上の従業員のうち、約2千人については雇用を維持しながら再教育し、スキルアップを図ることでEV生産に従事できるようにする。

 今回は今後5年間に米国で行うEVへの投資の一つ。同社は30年までに米国販売のEV比率を40%に高め、さらに多くの車両を電動化する目標を掲げる。今回の発表分を含め同工場への投資は総額で40億㌦(約4600億円)に達し、米国の製造拠点全体への投資額は135億㌦(約1兆5500億円)となる。

 アシュワニ・グプタ最高執行責任者(COO)は「米国でEVシフトを加速させるために行う投資の第1弾だ。積極的な投資を行い、トップレベルのEVを生産する」と述べた。

 同工場は、03年に操業を開始し、累計生産台数は約500万台。現在は「アルティマ」「フロンティア」「タイタン」「タイタンXD」を生産している。