日産自動車は8日、2050年に生産拠点でカーボンニュートラルを実現するロードマップを発表した。新たに栃木工場に導入した生産技術「ニッサンインテリジェントファクトリー(NIF)」の機能を国内外の工場に順次展開して生産活動での脱炭素化を実現する。中間目標として30年までに生産時に排出する二酸化炭素(CO2)を19年比41%削減する。自動車向けに開発を進めていたバイオフューエルなどを燃料とする固体酸化物系燃料電池(SOFC)を定置用に置換してカーボンニュートラル電力を活用する。
エネルギー使用量を25%減らせるボディーバンパーの一体塗装システムなどの環境負荷低減技術で構成するNIFは、主に上級モデルを生産する栃木工場に導入した。今後、CO2の排出量が多い鋳造工程や塗装工程で必要なエネルギーを電化するなど、NIFを構成する環境技術を進化させるとともに、導入拠点を拡充する。
SOFCは日産が16年にブラジルで発表したプロトタイプの自動車に適用した技術で、定置用に応用する実証実験を22年中に栃木工場で実施する。
新型電気自動車(EV)「アリア」を製造する栃木工場は環境負荷低減技術に加え、3分割したパレットの組み合わせで多様なモデルを柔軟に作り分けるパワートレイン一括搭載システム「SUMO」や、量産では世界初となる巻線界磁式モーターの生産技術を導入。
また、ソフトウエア高速書き込みシステムといった次世代車に対応する生産技術も導入する。コックピットモジュール自動組み立てシステムや習熟度を効率的に高めるMR(複合現実)技術を利用した教育システムなど、自動化やデジタル技術を取り入れた。
日産で生産技術を統括する坂本秀行副社長は「(NIFなどの)変動に強い生産技術は明日の日産の要になる」と述べ、今後も生産技術の開発を強化する姿勢を示した。