集合住宅での環境整備がEV普及のカギを握る(写真はイメージ)

 電気自動車(EV)の普及に向けて、集合住宅に充電器を設置しようとする動きが広がってきた。2050年のカーボンニュートラルに向けて電動車への関心が高まる中、マンションなどへの充電器設置を手掛ける企業への問い合わせが急増している。エネルギー大手企業も集合住宅向けに充電インフラを請け負うサービスで新たな商機を狙う。普通充電器でも専用の電力引き込みが認められるなど規制緩和も追い風に、これまで課題だった集合住宅などでの充電インフラの設置がいっそう進みそうだ。

 「管理会社などからの問い合わせは、以前の約2倍に増えている」。こう話すのは、マンションなどへのEV用充電器設置を請け負うユアスタンド(横浜市中区)の浦伸行社長だ。政府がカーボンニュートラルへの方針を示したことで、EVに不可欠な充電設備の設置を検討するマンションが全国的に増加しているという。分譲マンションへの設置は管理組合での合意が必要で、住民への説明なども含めて契約するまでには約半年を要するケースも少なくない。現在は検討中も含め約300件の案件を抱えている。

 集合住宅に向けたEV充電サービスを準備するのが東京ガスは、充電管理サービスを手掛けるユビ電(東京都渋谷区、山口典男代表取締役)のシステムを活用し、ガス供給や電力小売りで取引するマンション管理組合などに売り込む。200㌾コンセントと課金システムを組み合わせることで、導入コストを抑えたのが特徴で、「遅れている集合住宅の充電環境を解決するビジネスを展開したい」(担当者)と力を込める。

 EVの普及には国内の住居の4割とも言われる集合住宅での充電環境をどう整えるのかが課題だ。特にマンションの多い都市部で販売比率が高い外国メーカー車にとっては今後のEV販売を大きく左右する可能性がある。日本自動車輸入組合のティル・シェア理事長は、「外国メーカー車の新車販売シェアは東京23区で25%、港区で50%。都心部における充電設備の拡充は喫緊の課題」と行政などに対策を働きかけている。

 今年4月には電気事業法施行規則の改正で、これまで「1需要場所、1引き込み」が原則とされてきた規制が緩和された。急速充電器と同様に普通充電でも従来の電力契約とは送電線をマンション敷地内に引き込めるようになり、大規模駐車場などでも規模に応じた数の充電設備を用意できる。ただ現状のルールで専用線を引き込むには費用が高くなるため「コスト面での課題は少なくない」(浦社長)という。