いすゞが構築する商用車コネクテッド情報プラットフォーム

 輸送需要の増加とドライバー不足を背景に、宅配便最大手のヤマト運輸が運賃の引き上げに踏み切り、物流業界に波及した「ヤマトショック」によって、モノを輸送できなくなる「物流危機」が表面化してから5年。足元ではコロナ禍による巣ごもり需要もあって物流需要はさらに拡大する一方で、ドライバー不足が深刻化している。大型車メーカーは、危機に直面するトラック運送事業者を、コネクテッド技術によって支援しようとしている。

 日本ロジスティクスシステム協会によると、営業用貨物自動車の需給バランスは2015年に年間29・2億㌧で需要量と供給量が一致していたが、25年に8・5億㌧の供給力(輸送能力)が不足し、30年には11・4億㌧の供給力不足み陥ると予測する。00年に100万人いたトラックドライバーが50年には50万人に半減する予測もある。

 トラック運送事業者は賃金の引き上げや労働環境改善など、ドライバー確保に取り組んでいるものの、ドライバー不足問題解消には至っていない。当面の対策として物流効率化に力を入れている。

 実際、国内のトラックの輸送効率は低い。積載効率は平均4割にとどまっている。積載効率が低いとドライバーが余計に必要となるだけではなく、エネルギーも無駄に消費する。また、荷役作業までの待ち時間が長く、ドライバーに無駄な拘束時間を強いていることも効率低下の原因になっている。

 こうした課題解決に向けて大型車メーカーが期待しているのが「コネクテッド技術を生かす」(いすゞ自動車・片山正則社長)ことだ。現在、国内の大型各社が販売するトラックのほぼ全てに車載通信端末が搭載されており、コネクテッドカ―技術を活用した物流効率化を支援する。

 日野自動車はスタートアップのHacobu(ハコブ、佐々木太郎社長CEO、東京都港区)とコネクテッド車を連携した動態管理サービスを提供する。運送事業者は車両位置を把握し、運行管理者の業務負担軽減や、配送業務の効率化をサポートする。両社は今後、データを連携し、接続した車両・走行データを活用してさまざまなサービスを展開することを視野に入れる。日野は物流事業者とともに立ち上げたネクスト・ロジスティクス・ジャパンがコネクテッド技術を生かした混載輸送を実用化する事業も推進する。

 いすゞはコネクテッド技術を活用した商用車向け情報プラットフォームを富士通などと開発中で22年に運用する予定。プラットフォームをベースに、物流トラックの高度な運行管理や稼働サポートサービスを提供する方針だ。

 コネクテッド技術の活用による物流効率化に向けて課題となるのがデータの共有だ。「コネクテッドのプラットフォームが同じになれば日野といすゞの両方のトラックを使っている事業者は運行管理がよりやりやすく」(日野・小木曽聡社長)、物流効率化の効果も大きい。

 今年4月に日野といすゞ、トヨタ自動車が立ち上げたコマーシャル・ジャパン・パートナーシップ・テクノロジーズ(CJPT)は、コネクテッド技術を生かした物流ソリューション構築を事業の柱の一つに位置付けており、データの共有化が進む可能性がある。今月21日にはダイハツ工業とスズキが加わることで合意、小口配送に使われる軽商用車も含めた物流システム構築に踏み出す。

 直面する物流危機によって商用車メーカーはライバルやスタートアップとも手を結び、新しいハードとソフトを提供するなど、物流事業者の支援に本腰を入れている。