乗員の気持ちを動かせる車内空間作りを検討する

 目的地に合わせて乗員の気持ちを高揚させる―。日本総合研究所(谷崎勝教社長、東京都品川区)は14日、“人の気持ちを動かす”ような自動車の車内空間のあり方を検討する「DUAL MOVE(デュアルムーヴ)コンソーシアム」を今月に設立すると発表した。車載機器メーカーや部材メーカー、旅行会社、映像・ゲーム制作会社など15社程度が参画する予定。目的地に向かって移動する車内空間で人の気持ちを高めるための車載コンテンツやサービスなどを検証する。

 同コンソーシアムでは、近い将来の車内空間をイメージしたプロトタイプと車載コンテンツを制作する。旅行会社や小売企業など将来的に車載コンテンツを制作、利用すると見込まれる企業の意向を踏まえ、目的地での体験価値向上につながるコンテンツを検討する計画だ。例えば、「いちご狩りに向かう際、いちごを普段よりおいしく食べられるようになる」コンテンツなどが考えられるという。

 制作したコンテンツはコンソーシアムメンバーのみならず、一般の被験者にも体験してもらう。体験中の生体センシングで得たデータやインタビュー情報などを収集、分析。将来のサービスモデル、ビジネスモデルの構築に反映させるための議論に活用する。

 日本総研が同コンソーシアムを立ち上げたのは、人が移動する際は目的地に相応しい気持ちの状態があり、移動中の車内でそういった状態になるよう気持ちを動かすことが求められるようになると考えているためだ。

 現在、自動運転車の実現に向けて、HMI(ヒューマン・マシン・インタフェース)機器や生体センシング機能が進化している。自動車メーカーやIT企業などはこうした技術を組み合わせ新しい車載コンテンツやサービスの提供を始めている状況だ。

 ただ、日本総研は「ユーザーからどのような車載コンテンツやサービスが求められているかについては、十分な検証が行われていない」と判断。同コンソーシアムを立ち上げ、人の気持ちを動かすための車内空間のあり方を検討することにした。活動期間は来年2月までとしている。