エアバッグの品質問題で経営破綻したタカタの事業を引き継いだジョイソン・セイフティ・システムズ・ジャパン(JSSJ、岩満久好社長、東京都品川区)は18日、試験データ改ざんが発覚したシートベルトのベルトに使用するウェビングの試験方法や品質の検証結果についての会見を開き、採用車種でのリコールはないと発表した。耐摩耗性、難燃性、耐光性、染色堅牢度、仕事量の5項目で法規規格に問題があったが、検証で車両安全性には問題がないとした。
同社製ウェビングは自動車メーカー12社が採用している。同社は法規規格に問題があるウェビングと同じ条件で製品を作り、再現検証などを実施した。同社は検証結果のデータを自動車メーカーに提出。自動車メーカーは提供されたデータを基に自社での品質確認も行った上で「車両の安全性に影響はない」(トヨタ自動車広報部)、「該当する完成車の品質に問題はない」(ホンダ広報部)としてリコールを実施しないとしている。
今回、改ざんを行っていた拠点はタカタから譲り受けた彦根製造所とフィリピン子会社。試験データをウェビング検査月報に転記する際、不合格結果を合格数値に書き換えていた。彦根製造所では20年間、フィリピン子会社では14年間にわたって改ざんが行われ、法規的な書き換え件数は323件だった。同社は「ウェビング製造工程は自動化が進み、品質への過信などがあった。今後はコンプライアンス強化などで社内改革を強化する」(岩満社長)方針だ。