国内の交通事故死者数が1万人を超えたのは1959年のことだ。自家用車の増加とともに死者数はうなぎのぼりに増え、70年にはピークの1万6765人に達した。当時の状況は戦争にたとえられ、「交通戦争」と呼ばれた◆経済学者の宇沢弘文氏は、1974年の著書「自動車の社会的費用」(岩波新書)で、「日本ほど歩行者の権利が侵害されている国は、文明国といわれる国々…