日本ペイント・オートモーティブコーティングスは、太陽電池表面に加飾できる「太陽電池加飾フィルム」を、トヨタ自動車未来創生センターと共同開発したと発表した。自動車塗装技術を応用して太陽光を透過するフィルムを実現した。モビリティの外板パネルなどへの採用を見込む。
太陽電池はフィルムで覆うと太陽光を透過しないため発電できない。今回開発した加飾フィルムに含む顔料は、特定の波長の太陽光を反射して、残りの太陽光を透過する。通常の太陽電池と比べて発電量が約10%低下するものの、フィルムを装着しても発電できる。
顔料は半透明の自動車塗装向け製品を利用した。自動車外装を加飾ラッピングする樹脂フィルムの製造技術を応用し、透明樹脂の中に浮遊させた顔料が同一方向に配列されるよう透明樹脂を一方向に伸ばすことで、ムラなく均一に発色する。
日本ペイントとトヨタは3月から、太陽電池セルを手がけるエフウエイブ(眞野重治代表取締役、東京都千代田区)の「軽量フレキシブル太陽電池」に、今回開発した加飾フィルムを実装し、耐久性などを評価する実証実験を開始している。
脱炭素社会に向けた再生可能エネルギーを確保する機運の高まりから、モビリティや建物などへの太陽電池の活用が拡がる見通しで、これに伴って太陽電池に意匠性が求められる。日本ペイントは太陽電池を搭載する自動車向けなどの需要を開拓していく。