国土交通省は23日、遠隔型の無人自動運転車について国内で初めて「レベル3」(特定条件下における自動運転)の認可を行ったと発表した。福井県永平寺町で行っている無人自動運転移動サービスの実証実験に、25日から活用していく。すでに、システムが作動困難な状態においてドライバーが対応するレベル3の車両は、ホンダが世界で初めて型式を取得して発売済み。今回の新たなレベル3車両は、特定条件外になった場合に遠隔監視・操作者がリモートで運転操作を変わることで安全を担保する。こうしたタイプの認可は世界でも珍しいとみられ、国内外から注目を集めそうだ。
赤羽一嘉国交相も23日の閣議後会見で遠隔型のレベル3車両を使った実証実験について、「交通事故の防止や公共交通におけるドライバー不足の解消、免許を返納した高齢者の移動手段の確保など、さまざまな社会問題の解決に資する」として期待を示した。赤羽国交相は全国各地でこうしたサービスへの関心が高いとみており、「少子高齢化の中で、コミュニティーバスの維持も困難な中、地域の足としても必要」と指摘する。このため、国交省として全国の自治体や利用者の声を聞きながら、「無人自動運転技術のさらなる高度化と全国への展開を進める」考えを明らかにした。
遠隔型自動運転車の認可は中部運輸局が5日に行った。実証実験は同町内の約2kmの区間を自動走行しているもので、2017年から実施している。これまで、1人の遠隔監視・操作者が2台、3台を管理するなど段階的にレベルアップしてきた。今回、レベル3化することで、より車両自体の安全性が高まると判断。運営の受託企業ではこれまで車内に置いていた保安要員を外して運行することを決めたという。
政府は22年をめどに、限定地域での遠隔監視のみの自動運転移動サービスの実現を目指しており、引き続き、さらなる高度化に取り組む方針だ。