実証試験は運転席を無人とし、運転手は補助員として、立って乗車する

 相鉄バス(菅谷雅夫社長、横浜市西区)と群馬大学などは5日、日本で初となる運転席が無人の大型バスによる営業運行の自動運転実証試験を開始した。運転手は補助員として立って乗車するものの、基本的な運転は自動運転システムが担い、緊急時はカメラなどを通して遠隔で監視している操作員が運転を代行する。今回は「レベル2」相当の技術を用いたが、群馬大の小木津武樹准教授は「遠隔監視、操作機能を使うことで、実装が難しいといわれている『レベル3』の実現も見えてきた」と語った。

 今回の実証実験は、よこはま動物園(横浜市旭区)と近隣施設間の約900メートルを運行する。期間は14日までで、一般の来園客の乗車も見込む。

 1年前にも同様の実証実験を行っており、その時は基本的な運転はシステムが担い、ドライバーが運転席に着座して停止などを手動で行っていた。今回は、運転席を無人の状態とし、緊急時は遠方にいる操作員がコントローラーなどを用いて遠隔操作する。LiDAR3台や可視光カメラ15台など車内外に設置したセンサー類が操作員の「目」の役割を果たす。

 システムと人間で操作主体が切り替わるため実現の難易度が高いといわれているレベル3に関しては、一部のメーカーでは「スキップ」する動きも出てきている。今回の実証でも、将来的には「レベル4」相当の自動運転走行を視野に入れているが、小木津准教授は「運転者の習熟度が高い路線バスに関しては、遠隔監視と組み合わせることで実現できる」との見解を示した。