写真はイメージ

 神戸製鋼所は16日、高炉工程の二酸化炭素(CO2)の排出量を2013年度比20%削減する技術を確立したと発表した。鉄鉱石を天然ガスで直接還元した還元鉄(DRI、HBI)の装入量を増やし、鉄鉱石や高炉のCO2排出量を左右するコークスなどの還元材を削減するとともに、従来比2倍のCO2削減効果を確認した。早ければ1年以内にも同技術を加古川製鉄所の高炉へ導入する。

 同社のDRIは、天然ガスを改質した55%の水素を含む還元ガスで鉄鉱石を直接還元する米国子会社ミドレックスが持つ技術で生産する。HBIは海上輸送用に押し固めたもの。鉄分が約90%の洗浄鉄源で、高級スクラップや銑鉄の代替品として電炉や高炉などで使用する。ミドレックスプロセスは、天然ガスで直接還元した還元鉄生産量の80%以上を占める。

 神戸製鋼は、20年10月に加古川製鉄所の4844立方メートルの大型高炉で同技術の実証実験を行った。溶銑1トン当たり305キログラムのHBIを装入し、コークスの使用量を同239キログラムに低減した。同社が調査した従来技術に比べて、HBIの使用量を1.2倍に、コークスの低減量を2.5倍に増やした。従来はHBIの使用量を増やし、コークスの使用量を減らすことに技術的な課題があった。ただ、HBIの生産技術をはじめ、人工知能(AI)を活用した高炉操業の技術などでこれを解決している。

 同日、電話会見した柴田耕一朗副社長は「CO2の排出量削減は世界共通の課題だ。各国の製鉄所にもソリューションを提供したい」と技術の販売に意欲を示した。今後は安価なHBIの生産によるCO2削減コストの低減やHBIの使用量を増やすとともに、高価なコークスの使用量低減に向けた技術開発などに取り組む。