スイッチがタッチパネルに置き換わりつつある中、新たな試みもある。ジェイテクトの「ハプティックシェアードコントロール」は、操舵力を変化させて自動運転と手動運転を〝共存〟させる技術だ。開発担当者は「手動から自動、あるいはその逆へとスイッチを切り替えるような制御も考えられるが、人間側は切り替え直後の操作ミスが、機械側は負荷変動による挙動の乱れがある。それなら切り替えるのではなく、継続的に人と機械を共存させる方が良いと考えた」と背景を説明する。
機械と人間のどちらを優先するかは制御で決め、機械を優先する度合いが上がるに連れて操舵力を重くする。わざと車線逸脱しようとすると、嫌がるステアリングをねじ伏せているような感じになり、ドライバーがシステムの意思を感じ取れるわけだ。
東海理化の「コンフォート&セーフティシートベルト」は、リトラクター(ベルト巻き取り装置)用のモーターを断続的に作動させ、乗員に注意を促す機構を組み込んだ。自動運転の作動限界を超え、ドライバーに操舵を要求する時にも有効だ。ブレーキを断続的に効かせる手法もあるが「ベルトならすべての乗員でなく、ドライバーだけに注意を促すことができる」(同社)という利点がある。
触覚を飛び越えたジェスチャーをHMIに使う技術もある。アイシン精機が開発中のドライバーモニタリングは、車内にいる全乗員の姿勢を検知したり、一定範囲のジェスチャーを正確に認識したりできる。例えば、衝突時のエアバッグ展開をきめ細かく制御してけがを減らしたり、スイッチに手を伸ばさずジェスチャーで車載機器を操作したりできるという。