日系メーカー各社は電動車の投入を加速させる

 欧州の二酸化炭素(CO2)排出規制に対応するため、自動車メーカー各社が電動車の投入を加速している。業界平均の排出量は95㌘/㌔㍍と従来よりも約3割も厳しい水準となり、1㌘超過するたびに「95 ユーロ ×欧州年間登録台数」の罰金が科せられる。業績に与えるインパクトが大きいだけに各社は台数を割り増してカウントされる電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)の投入を急ぐ。

 欧州のCO2排出規制は2020年から厳しくなった。従来は130㌘/㌔㍍だったのに対し、業界平均で一気に35㌘/㌔㍍分のCO2を削減する必要がある。欧州環境庁(EEA)が今年6月に発表したデータによると18年の実績値は120・8㌘/㌔㍍とかい離が大きく、調査会社のJATOダイナミクスが公表している19年の実績見通しも121・8㌘とその差は縮まっていない。むしろ、ディーゼル離れや燃費の条件が厳しいSUVの人気が高まっていることでCO2排出量が増加しているメーカーが少なくない。メーカーによっては数百億円レベルの罰金が発生する可能性もあり、各社は対応を急ぐ。

 ただ、95㌘/㌔㍍という数値はあくまで業界平均値で企業ごとに数値は異なる。規制値は販売車種の平均重量に依存し、大型乗用車を中心に扱うメーカーの規制値は95㌘を上回り、小型車中心のメーカーは下回る。例えば1600㌔㌘の車両の場合、20年の時点の目標値は約102㌘/㌔㍍になる計算だ。また、21年以降は規制値や実績値をNEDCではなくWLTPで決めるようになる。

 規制は厳格化されるが、救済措置も設けられている。その一つが「スーパークレジット」だ。これは、50㌘/㌔㍍(NEDC)未満の車両の台数を割り増ししてカウントできる仕組みで、20年の時点では1台販売すれば2台販売したことと見なされる。LEDなどの環境に優しい技術をCO2排出量に反映する「エコイノベーション」や企業間でCO2を合算して計算する「プーリング」も従来通りに使用できる。

 21年からは規制がさらに厳しくなる。20年時点では新車の5%を除外して実績値を計算できるが、21年以降は全車種が対象になるほか、スーパークレジットの割増率も22年に向けて段階的に下がる。ホンダやマツダなどは規制対応に向けてEVを投入したが、その恩恵は21年以降に薄れていくことになる。

 日系各社はEVのほかCO2排出量の少ないハイブリッド車(HV)などの投入を積極化して規制対応を図る。また、スズキは電動車の投入のほか、「ジムニー」を乗用車に比べて規制値が緩い商用車(147㌘/㌔㍍)に仕様を切り替えた。三菱自動車のように規制対応の厳格化を背景に欧州向け新商品の開発を凍結する判断もある。欧州規制は21年以降も段階的に厳しくなり、現状では30年に21年比で37・5%削減する方針。自動車各社の対応が急がれる。