木村情報技術(木村隆夫社長、佐賀市)が、中小企業のための営業活動支援事業を開始する。情報通信技術(ICT)や人工知能(AI)を駆使し、高い技術力を持つ中小企業と大手企業をつなぐプラットフォームを構築した。デジタルツールは新型コロナウイルスの感染拡大に伴い現れたニューノーマル(新常態)でも大きな武器になりうる。中小企業が受難の時代、営業活動のデジタルトランスフォーメーション(DX)は、業界や地域の垣根を越えた事業拡大の可能性を秘める。

 中小企業数は全体の99・7%を占める日本経済の「屋台骨」だが、中小企業白書によると年間4万社以上の企業が廃業などを余儀なくされる。後継者不足などもあるが、コロナ禍の影響を受けた倒産も相次いでいる。中小企業は特定の企業や業界に依存する傾向が高く、一蓮托生の関係にある取引先の影響は甚大だ。

 同社がDXを推進するのは特定の業界や取引先に依存せずに、幅広いアプローチや取引先の分散化が期待できるからだ。今後、確かな技術やサービスを持つ中小企業には必須の取り組みとなる。

 DXは世の中の仕組みを変えるもので、単なるデジタル化ではない。新常態ではDX化への遅れは致命的になる。コロナ禍では大手企業を中心に面会が禁止となり、商談がオンラインに移行した。既存顧客はまだしも、展示会などのイベントが軒並み中止となり、新規顧客へのアプローチの手段がなくなった。新型コロナ収束の見通しが立たない中、販路を拡大する機会は失われたままだ。

 中小企業でDXが進まない背景に、木村社長は「運用の煩雑さや費用面で課題がある」と指摘する。一定のセキュリティー対策や継続的な運用など、利便性の享受にはいくつかのハードルを越える必要がある。

 DXは業界や地域、企業規模の垣根を越え、地方から全国へ事業拡大の可能性を秘める。木村情報技術の営業活動支援では、こうした課題を解消するとともに新たな集客手段も採用する。DXへのきっかけを提供するとともに、新常態にも適したDX支援で、生き残りをかける中小企業に新たな営業スタイルを提案する。

(4回連載、営業企画)