ホンダは10日、最短1カ月から使用できる中古車サブスクリプションサービス「マンスリーオーナー」を全国展開すると発表した。同日付で愛知県に4店舗を出店するのを皮切りに展開地域を2020年内に全国9道府県に拡大する。これまで埼玉県の1店舗限定で運営してきたが、一定の需要と収益性が見込めると判断した。国内の自動車市場が縮小に向かう中、新しいモビリティサービスを提供し、新規顧客との接点拡大を図る。

 マンスリーオーナーはホンダが1月に「ユーセレクト城北」(埼玉県和光市)で開始したサービス。中古車を利用することにより、利用価格を抑え、月2万9800円から1カ月単位で使用できる点が特徴だ。

 サービスの開始後、契約期間を決めずに利用を開始できる気軽さなどが支持され、会員数は約1千人に拡大し、約50台にまで増車した配備車両の稼働率は100%近い水準で推移する。1カ月程度の短期使用だった場合は運営拠点側の採算は合わないが、顧客調査によると平均利用月数見込みは採算がとれる約7カ月で、一定の収益性を確保できると判断して展開地域を拡充する。

 展開地域は埼玉県、愛知県のほか、北海道、宮城県、群馬県、神奈川県、大阪府、岡山県、福岡県の合計9道府県。4店舗を展開するホンダカーズ愛知以外の運営法人や店舗数は未定だが、まずは各道府県の主要都市で直営販売会社が提供するとみられる。価格帯や車種は基本的に全国一律で展開する予定だが、北海道では四輪駆動車のラインアップを充実させるなど地域のニーズにあった車両も提供する。

 ホンダが同サービスの展開に力を入れるのは国内市場縮小に強い危機感があるためだ。総務省によると29歳以下の自動車普及率は09年の59・1%に対して47・9%に減少した。マンスリーオーナーの利用者アンケートによると、ユーセレクト城北もしくはホンダのカーシェアサービス「エブリゴー」の利用客は全体の10%で、残りの90%を新規客が占める。多様化するニーズに応える新しいサービスで従来は接点を持てなかった客層に車の魅力を訴求し、新車販売にも結び付ける考えだ。