27日の設置報告後に会見したスバルの藤貫執行役員CTO(右)と平塚浩士群馬大学長

 スバルと群馬大学は27日、2030年以降の時代に求められる自動車技術を創出する共同研究センター「次世代自動車技術研究講座」を発足したと発表した。4月1日付で同大学大学院理工学府内に同講座を設置しており、安全や感性などをテーマに両者の技術者と研究者が情報共有を始めている。スバルのニーズや研究課題に対して同大学が持つ知を結集し、〝群馬発の技術革新〟を狙う。同講座を核に、スタートアップや地元企業からの参画も促し、独自の産学連携の枠組みを構築する。

 スバルの藤貫哲郎執行役員最高技術責任者(CTO)は「技術イノベーションの幅、深さ、スピードをさらに加速するには、包括的な枠組みで両者ががっちりタッグを組んで進めることが非常に有効だ」と同講座設立の背景を説明した。

 群馬大の太田キャンパス(群馬県太田市)を主な活動拠点とし、特任教授にスバルから岩瀬勉氏が就任した。20~23年までの3年間を第1期と位置付け、「安全」「感性」「設計プロセス改革」の領域で、スバルのニーズや課題を洗い出し、群馬大が理工系や情報系、医学系の知見をもとに解決策を探る。共同研究には学生も携わることで人材育成を図る。

 また、24~28年までの5年間を第2期、その次の5年間を第3期として長期にわたり活動することで人材育成にも貢献する。両者は05年に、群馬製作所と群馬大が包括協定を締結して以降、大学院連携講座や共同研究などで連携体制を構築してきた。これまで小規模・短期間の共同研究はあったが、長期間にわたる包括的な共同研究は今回が初めてだという。