経路案内のイメージ

 三菱電機は、人と車載機器が自然な言葉で対話できるカーナビ向け経路案内システムを開発したと発表した。新技術「シーン・アウェア インタラクション」は、各車載センサーから得た情報の重要度を自動で判断し、周辺状況を理解する。また、その後のドライバーへの情報伝達をより具体的かつ自然な言葉で伝えることで、人と車の円滑な意思疎通を実現する。経路案内のほか、歩行者や自転車などを検知し、音声警告を出すといった運転支援も行う。

 新技術は、同社AI(人工知能)技術「マイサート」を基に開発した。カメラで撮影した画像情報、マイクロフォンで集音した音響情報、LiDARやレーダーで取得した位置情報などから、周囲で起きている状況を理解。重要度の高い情報に自動で「重み付け」を行うことで、正確な状況理解を可能にする。

 機器が理解したこれまでの状況や人間の発話の履歴から自然な言葉を生成し、正確かつ詳細に表現する。従来の視覚情報のみの手法と比較し、機器と人間の理解した内容の類似度を示す評価尺度CIDErでの評価が29%改善したという。

 従来の経路案内では、郵便ポストなどは視野に入りやすいものの、地図情報には含まれていないため、例えば「50㍍先を右に曲がってください」といった画一的で直感的に理解しにくい説明になっていた。新技術では「郵便ポストの手前で」といったユーザーが認識する実際の状況に応じた経路案内を可能とする。ドライバーが車載機器の説明をうまく解釈できなかった場合には、「わからない」といった音声を発することで、例えば「前の黒い車に続いて」といった別の表現で言い換える。 

 また、周囲の車両や歩行者、自転車などの進行方向が自車の進行方向と交差し事故につながる恐れがある場合、音声警告をするなど運転支援も行う。