ダイムラーはドイツの自動車メーカーで、トラックなどの商用車や「メルセデス・ベンツ」ブランドの乗用車を200以上の国と地域で事業展開しています。世界で初めてガソリンエンジンの自動車を開発したカール・ベンツらが創業に関係した伝統ある会社です。2019年の世界販売台数は約334万台でした。乗用車のプレミアムクラスと商用車では世界最大規模の販売台数を誇ります。日本に本社を置く三菱ふそうトラック・バスもダイムラーグループの一員です。

 19世紀後半のほぼ同時期に車を開発したカール・ベンツとゴットリープ・ダイムラーがそれぞれ設立した会社を第一次大戦後の1926年に合併し、ダイムラー・ベンツが生まれました。米クライスラーとの合併・分離を経て、現在の「ダイムラー」の社名に改称しています。

 先進技術である電動化では、2030年までに乗用車の販売台数に占めるプラグインハイブリッド車(PHV)と電気自動車(EV)を合わせた割合を50%以上にする目標を掲げています。EVでは専用ブランド「EQ」を立ち上げて、SUV「EQC」やワゴンタイプ「EQV」を順次発売するなど力を入れています。トラックでは子会社の三菱ふそうが、17年に世界初の量産電気トラックの販売を開始しています。

 電動化のほかにも燃料電池の量産でボルボグループと合弁事業に取り組むほか、プレミアムクラスのライバルであるBMWとはモビリティサービス事業を統合するなど協業関係にあります。BMWとは自動運転技術でも共同開発を行っていましたが、こちらはわずか1年程度で提携関係は解消しています。

 日本では乗用車がメインで、19年のメルセデス・ベンツの販売台数は約6万6千台で、外国メーカー車として5年連続、プレミアムブランドとして7年連続で首位を獲得しています。なお、日本では略称で「ベンツ」が一般的ですが、世界では「メルセデス」の略称で親しまれています。