認知機能の低下は運転に重大な影響を及ぼす(写真はイメージ)

 産業技術総合研究所(産総研、中鉢良治理事長)は11日、自動車メーカーなどと共同で認知症の早期発見や運転リスクを予測する研究開発に取り組むコンソーシアムを設立したと発表した。2022年3月末までの予定で研究開発を進め、認知機能の低下を補う運転支援技術の開発に役立てていく。現時点で参加する企業はスズキをはじめ6社だが、産総研では今後も部品や保険会社、通信会社など幅広い業種に参加を呼びかけていく考え。自動車に関連する認知症リスクを軽減することで、安全な交通社会の実現につなげる。

 今回立ち上げたのは「健康起因交通事故撲滅のための医工連携研究開発コンソーシアム2(AMECC2)」。産総研は筑波大学附属病院、スズキ、スバル、パイオニア、パナソニック、マツダなどと研究開発に取り組んでいく。実際の認知症患者や軽度認知障害者に加え、認知機能のみられない高齢者と若年層も対象に運転中のデータや生活行動データを取得。これに認知機能に関わる医学的なデータを組み合わせて総合的に解析する。運転時のデータはドライビングシミュレーターや実車を用いて測定する。

 AMMEC2では解析したデータを活用し、認知機能の低下による運転リスクの評価手法を開発していく計画。さらに、認知症の早期発見につながるメカニズムも調べていくことで、医療現場での早期の治療にも役立てたい考えだ。

 産総研では19年3月までAMMECとして、運転中に脳卒中や心疾患、てんかんを発症した場合の検知につながる研究開発に取り組んできた。今回の取り組みは、この第2弾として位置付けている。