HOSPOの将来イメージ(大樹町プレスリリースより)

 経済産業省はトヨタ自動車やホンダが宇宙関連事業への取り組みを北海道で進める中、北海道経済産業局が道内の宇宙関連企業の支援に乗り出す。自動車や航空産業が盛んな中部圏の企業と道内企業が連携できるようなイベントを開き、エンジニアや企業の交流を促す。日本の基幹産業が持つものづくりのノウハウを採り入れ、低コスト・高品質で量産可能なロケットの開発につなげたい考え。

 交流イベントは9月ごろに開く。航空、自動車関連企業などの参加を見込む。企業紹介やパネルディスカッションを通じて、企業間ネットワークづくりにつなげる。エンジニアは50人程度の参加を見込んでいる。

 国は、2030年代前半に国内で民間含め年30回のロケット打ち上げを目標に掲げる。24年は5回だった。北海道内では、誰でも利用できる、打ち上げ方式で国内唯一の商業宇宙港「北海道スペースポート」(HOSPO)がある大樹町を中心に宇宙関連産業の集積が進みつつある。ロケットベンチャーなどと日本のものづくり企業が蓄積してきた技術を融合することで、道内企業の競争力を高める。ロケットで打ち上げた衛星からの情報を農業など一次産業にも活用していこうという動きもある。

 道内では、ロケット開発を手掛けるインターステラテクノロジズ(稲川貴大CEO、北海道大樹町)にトヨタ自動車子会社のウーブン・バイ・トヨタが70億円を出資したことが1月に公表された。駆動系ユニットを生産するトヨタ自動車北海道の社員も出向している。宇宙産業と自動車産業の連携が始まっている。

 また、ホンダは先月17日、大樹町の宇宙港で、再使用型ロケット(RLV)の離着陸実験に成功したと発表した。高度270㍍からの離着陸成功は、日本の民間企業としては初という。同じ機体を繰り返し使うことで機体材料の使用量やコストを減らせる。

 開発や組み立ては四輪事業の技術を生かした。制御技術も全地球測位システム(GNSS)やLiDAR(ライダー、レーザースキャナー)など、自動運転の技術を活用した。29年に宇宙空間への到達を目指している。

 北海道経済産業局の丹羽朋子宇宙航空産業室長は「中部のものづくり企業の技術と北海道の宇宙関連企業が交流、特にエンジニア同士の交流によって互いにウィン・ウィンとなる機会にしたい」としている。同局は25年4月宇宙航空産業室を設置し、支援体制を強化した。同局によると、宇宙関連企業は道内に30程度ある。ロケットは開発途中なため、どれだけの産業規模があるかは現時点では集計していないという。