ホンダが離着陸実験に成功した再使用型ロケット

 世界の宇宙関連市場は90兆円超(2023年)の経済規模を持ち、今後も飛躍的に伸びると予測されている。日本では約4兆円とされる。基本的には、衛星を積んだロケットを打ち上げて宇宙空間に投じ、それで得られる情報を政府が利用したり、ビジネスを行ったりする。ロケットなどものづくりの分野が約4千億円規模(22年)で、それ以外の大半が衛星を使った情報ビジネスとみられる。経済産業省としては、自動車などで培ったものづくり力を生かし、宇宙関連産業でも世界で一定の存在感を示したい考えだ。

 世界的にロケットの打ち上げは米国や中国が群を抜いている。24年は米国が153回。中国は66回だった。日本は5回のみだ。

 商業衛星は日本で打ち上げることができず、海外依存が続く。海外での打ち上げは輸送費やエンジニアの長期滞在費などでコストが膨らみ、世界の事業者に比べて競争力が劣ることになる。国内で商業衛星を打ち上げられる環境を作り、関連産業が育成できれば日本経済にとっても大きなメリットになる。北海道大樹町にあり、日本で唯一、誰でも利用できる打ち上げ方式の「宇宙港」が注目されているのは、こういう背景がある。

 日本の宇宙に関する政策は宇宙基本法(08年施行)に基づいて3~4年ごとにまとめられる宇宙基本計画(現在のものは第5次で23年策定)で方針が決まる。文部科学省、総務省、経済産業省など多くの官庁が関わっていることから、内閣府が全体の調整を行う。

 最近では、ロシアによるウクライナ侵攻や中国や北朝鮮をめぐる情勢などから、衛星群を使った高度な情報収集力を持つ安全保障システムを構築していくことを最優先課題に挙げている。

 また、頻発する地震や災害では衛星による情報が役に立った。24年の能登半島地震でも大型合成開口レーダ(SAR)衛星による情報が活用された。SAR衛星は、雲の下でも夜でも画像を把握できるのが特徴だ。詳細な気象データを農業や水産業にも活用できると期待が高まっている。

 宇宙関係予算は25年度当初(24年度補正予算を含む)では9365億円。年々、増えている。

 ある業界関係者は「米国のロケットは再利用型ができているが日本は使い捨て。ここでコストの差が出ている。さらに、衛星で得られる情報でいかに市場のニーズにあったビジネスモデルを作ることができるかが収益のカギだ」と話した。