自販連の加藤会長

日本自動車販売協会連合会の加藤和夫会長(ホンダ東京西・社長)は2月25日、総会終了後の記者会見で、感染が拡大している新型コロナウイルス問題が「大変な状況にならないとは、とても思えない」と、国内経済や新車市場への影響拡大に懸念を示した。加藤会長は、ホンダの国内生産モデルの一部に採用している中国製部品の調達が滞り「新車の納期が遅れ始めている」としており、事業にも影響が及んでいることを明らかにした。

新車市場は、昨年10月の消費増税前、市場が2~3割増となる大きな駆け込み需要は見られなかったものの、増税後、新車市場の低迷が続いている。加藤会長は増税前の8月、9月に目立った駆け込み需要はなかったが「さかのぼって見ると、高額なクルマは1年前から数%ずつ伸びていた。駆け込み需要は1年前から緩やかにあった」との見方を示した。昨年10月以降、台風などの大規模な自然災害の影響もあって市場は落ち込んでいるが「各社が新型車を投入していることもあって少しずつ確実に回復している」との見方を示した。

ただ、新型コロナウイルスの感染拡大の影響が懸念材料となっている。ホンダで国内生産モデルに採用している部品の調達に支障が及んでおり、納車が遅れているケースがあることから、加藤会長は「(ホンダ以外の)各社でも納車が遅れる状況になってくるかもしれない」と危惧する。ホンダでは中国の部品調達の問題から一部モデルで納車が当初の予定より1カ月程度遅れるケースがあるという。

また、各地で自動車関連を含むイベントが相次いで中止になっている。加藤会長によると、ホンダ東京西では「新しいクルマが投入されており、新規の顧客が増えてきた。2月の受注台数も前年に近い数字になる」としており、現在のところ販売活動への影響は軽微にとどまるものの「国内経済への影響は読めない」と先行き不透明との見方を示した。