新型コロナウイルスの感染拡大で中国国内の工場を停止していた日系自動車メーカーの一部が2月17日、自動車の生産を再開した。春節の休暇から約3週間ぶりに完成車工場が稼働した。地方政府の一部は感染防止対策の徹底を求めているほか、出勤する従業員数を制限しており、一直での生産となる。感染源となっている湖北省の政府が企業の休業期間を2月20日まで延期したこともあって、自動車部品の製造や物流など、サプライチェーン(部品供給網)は依然として混乱しており、中国の工場が正常化するにはなお時間がかかる見込み。

トヨタ自動車の中国合弁各社は、プリウス、ランドクルーザーを生産する長春工場とヤリスやカムリを製造する広州工場の2工場で2月17日に生産を再開した。感染防止対策を実施して部品の調達に目処がたったことから稼働した。両工場とも春節前まで昼夜2直で操業していたが、生産再開は昼勤のみの1直での操業で、2直化の時期は「未定」としている。

トヨタの他の合弁工場はカローラやヴィオスを生産する天津工場も2月18日に稼働を再開する予定。コースター、ランドクルーザー・プラドを生産する成都工場については工場のある四川省の方針や、部品調達、物流などの問題もあって生産再開は2月24日以降となる見通し。

ホンダは2月17日に、広州汽車との合弁である広州工場と、広東省にあるエンジン工場の生産を一部で再開した。今後、従業員の出勤や、部品の供給状況を確認して徐々に生産量を上げていく予定。広東省にあるトランスミッション工場は2月18日に稼働する予定。二輪車を製造する太倉工場は2月17日に部分的に操業を再開した。天津工場は当局による感染防止対策の確認が遅れており、生産開始時期は精査中。

輸出モデル専用工場の本田汽車(中国)の生産再開は2月20日以降となる。湖北省武漢市にある東風ホンダの四輪車生産工場は2月21日に出勤、2月24日の週に生産再開する予定。

日産自動車は、広州市にある東風日産の花都工場の操業を2月17日に再開した。今後、従業員の出勤状況やサプライチェーンを確認しながら段階的に生産ペースを引き上げていく予定。2月17日に稼働する予定だった大連工場は生産再開を2月21日に再延期した。2月20日以降としていた襄陽工場と鄭州工場、鄭州日産の生産再開は早くても2月24日以降となる。

マツダはCX-5、CX-8、マツダ3を生産している南京の合弁工場が2月17日稼働を再開した。地方政府から出社する従業員数を制限されていることから当面は1直での稼働となる。ただ、南京工場で製造している完成車向けのエンジンを製造している工場は現在も停止している。CX-4やマツダ6をライセンス生産している第一汽車グループの工場は、生産ラインの改造工事で現在も停止しており、生産再開は未定。

三菱自動車は広州汽車との湖南省にある合弁工場が2月17日に稼働する予定だったが、部品調達や従業員の出勤に支障があり、生産再開は早くても2月27日となる予定に延期した。福建省にある東南汽車との合弁工場jは2月17日に休暇の延長を決定、再開時期は「未定」。中国にあるエンジン工場や開発・管理部門、販売会社統括部門などは2月17日現在、稼働している。

いすゞ自動車は2月17日に生産再開を予定していたが、大・中・小型トラックとピックアップトラックを生産している重慶市にある合弁工場の生産再開の準備は整っているものの、地方政府の許可が遅れていることから同日は稼働を停止したままだ。許可が下り次第、再開できる見通し。また、小型トラックを製造する江西省南昌市にある合弁工場は、従業員の確保や物流を含めたサプライチェーンの問題から今週内の稼働再開を断念、2月24日以降の生産再開を目指す。

日野自動車は大型トラックを製造する広州市の合弁工場の生産再開を2月24日以降に延期する。地方政府の意向や、社員の出勤状況、部品の調達状況から総合的に判断したとしている。エンジンを製造する上海工場については2月17日に一部稼働を再開した。部品の調達状況などを見ながら段階的に生産ペースを上げていく予定。