小型モビリティに搭載した状態

 古河電気工業は27日、電界共振結合方式を用いた大電力のワイヤレス伝送に成功したと発表した。同方式は大電力の伝送に不向きとされてきたが、構成部品の構造を見直すことで効率を落とさずに電力伝送を可能にした。世界で初めて同方式で4・7㌔㍗の電力伝送を95㍉㍍の距離で成功した。小型電気自動車(EV)やロボット、無人搬送車など同方式を用いたワイヤレス給電を適用し、2025年頃にも実用化を目指す。

 同社はワイヤレス電力伝送技術の一種である電界共振結合の研究・開発に取り組んでいる。同方式は13・56㍋㌹、27・12㍋㌹などのHF(短波)帯と組み合わせると、磁界共振結合方式に比べて共振用コイルが小型化でき、軽量な送受電カプラで構成できるのが特徴。磁界共振結合とは異なり、電力の送受電部間に金属異物が加熱されるデメリットもない。

 だが、大電力の伝送には不向きで、13・56㍋㌹で2・5㌔㍗を超えた電力を伝送した前例はなかった。同社はカプラの構造を見直し、高い効率で大電力を送ることに成功した。今後もカプラの小型化や高効率化、大出力化に取り組むとともにシリコンよりも高性能な窒化ガリウム(GaN)デバイスを用いた高周波電源の開発にも取り組む。

 ワイヤレス給電は東京大学と日本精工、ブリヂストンなどの共同研究チームも研究・開発を進めている。送電部を道路などに敷設できれば、少ない電池で長距離走行も可能になる。リチウムイオン電池の資源リスクも想定される中で、環境対策に貢献する技術として開発が進んでいる。