ニスモは昨年12月に開催したモータースポーツファン感謝イベント「ニスモフェスティバル」でもNISMOヘリテージパーツを紹介した

 自動車メーカー各社が旧型車の愛好家の支援に本腰を入れ始めた。トヨタ自動車は旧型「スープラ」の補修部品を復刻生産し、今春から国内外で発売する。日産自動車は子会社と連携して「スカイラインGT―R」用、ホンダは軽スポーツカー用の補修部品をそれぞれ供給している。また、マツダは「ロードスター」のレストア(復元)事業を展開。各社とも1990年代までに発売され、いまだに人気を博す旧型スポーツカーの愛好家に対するフォローを強化して車に懸ける熱意を発信し、ブランドイメージを高めていく考えだ。

 自動車メーカー各社は、100年に一度と言われる大変革期を迎えCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)やMaaS(サービスとしてのモビリティ)に対応した新しい車づくりが急務となっている。その一方で、従来からのコアな車好きが求める「走る楽しみ」や「所有する歓び」に応えることを通し、長年培ってきた車づくりの姿勢を打ち出すことが中長期のブランド力向上に効果的と考え、旧型車の補修部品供給やレストア事業に乗り出した。

 金型を再び起こすなど大きなコストを負担した上で、旧型車の補修部品再販やレストア事業に注力することには、各社がこうした取り組みに大きな意義を感じている様子が浮かび上がる。「クルマを走らせる歓び」「クルマのある生活を楽しむライフスタイル」が変化・希薄化する中、クルマの本質的な魅力を今後もユーザーが楽しめるようにサポートし続けていくという、自動車メーカーとしての責任感も垣間見られる。

 トヨタは19年5月、17年ぶりにスポーツ車「スープラ」を復活した。これに合わせて旧型車の補修部品を復刻し供給する「GRヘリテージパーツプロジェクト」の始動を公表した。「古い名車を大事にする意識を広げる活動につなげていく」(友山茂樹副社長)のが狙い。同社によると旧型スープラの「A70型」(1986~93年)と「A80型」(93~2002年)の世界累計販売は約29万台という。

 日産とホンダは17年から旧型車向け部品の提供を始めている。日産は子会社のニッサン・モータースポーツ・インターナショナル(ニスモ、片桐隆夫社長)、オーテックジャパン(片桐隆夫社長)とともに、1989年から2002年まで販売した歴代のスカイラインGT-R3モデル(BNR32型、BCNR33型、BNR34型)向けに、廃番となった純正補修部品を「NISMOヘリテージパーツ」として復刻し販売している。

 当時と同一の材料を用いて同じサプライヤーが生産を担当する「純正復刻品」が原則とするが、工法や材料を変更した「リプレイス品」も提供中。昨年10月には復刻生産では対応できない部品を修理する新サービスを始めた。

 ホンダは軽オープン車「ビート」(1991~96年)の純正補修部品を供給。昨年11月にはフロアマットやバンパーなど8部品の受け付けも開始し、ラインアップ拡充を進めている。また、初代「NSX」(90~2006年)のエンジンや足回り、内外装を新車同様に維持するリフレッシュプランも提供している。

 マツダは初代ロードスターのレストアサービスを17年12月に開始。ドイツの第三者認証機関であるテュフラインランドジャパンから「クラシックカーガレージ認証」を取得し、作業品質や工程管理、設備など150項目を超える監査基準をクリアしたメーカーならではのレストアサービスを提供している。