テクノロジーを活用し、複数の交通手段をシームレス(継ぎ目なし)に利用できる「MaaS」(モビリティ・アズ・ア・サービス=サービスとしてのモビリティ)が日本でも現実のものになろうとしている。トヨタ自動車は昨年11月下旬、福岡市、北九州市で地域の鉄道会社2社と協業し、新サービス「マイルート」の運用を開始した。新たに開発した自前の決済サービスと組み合わせ、MaaSのプラットフォームとして他地域にも拡げていく考えだ。だが、その実現にはプラットフォーマー同士の協調も必須になる。

 MaaSを巡っては、JR東日本と連携する小田急電鉄が同様のアプリを開発。10月に小田急沿線エリアを中心とした実証実験を開始した。また、東急電鉄や高速バスのウィラーはそれぞれ、一定地域内で複数の交通手段を定額で利用できるサブスクリプション方式をMaaSに取り入れようとするなど、競合も導入の準備を進めている。ただ、各地域で別々に開発や導入が進むプラットフォームが連携できなければ、本当に移動が自由になることはない。

 他方、トヨタとソフトバンクが設立した「モネ・テクノロジーズ」にはホンダなど国内自動車メーカー7社が新たに出資した。企業間連携を目指す「モネ・コンソーシアム」にはすでに多様な業種から420社が参画する。

 自治体とも協議を進めており、参画主体の知見やデータを組み合わせて各地域のニーズに合ったサービスを提供していく。