東芝は、市販のカメラで撮影した画像からステレオカメラ並みの高精度な距離を計測できる立体認識AI(人工知能)を開発したと発表した。自律移動する無人配送車やドローンの遠隔操作のコストダウンが図れる。

単眼カメラの画像で距離推定計測する技術の精度は、AIのディープランニングで学習した風景情報に依存する。このため、異なる背景で撮影すると、精度が大幅に低下する。同社では、2色のカラーフィルタのレンズを使って被写体までの距離に応じて生じる画像ぼけの色と大きさを分析することで、風景情報に依存せず距離を推定するカラー開口撮影技術を開発した。しかし、この方式ではレンズの改造に伴うコストと手間が課題だった。

今回、ディープラーニングを活用してレンズ上の位置によって画像がどのようにぼけているかを解析し、通常の単眼カメラのみで風景情報に依存せず、ステレオカメラ並みの高精度な距離計測を実現する立体認識AIを開発した。遠近それぞれのぼけの形状のちがいを深層学習で情報を解析することで実現したという。

同社では、市販されているカメラとレンズで汎用性の確認と、画像処理の高速化を進めて2020年度の実用化を目指す。