電波暗室

パナソニックは、自動運転やコネクテッドカーに搭載が進むことが見込まれる第5世代移動通信方式(5G)を採用した車両の通信性能を、全方位で測定・評価できる大型電波暗室を神奈川県横浜市に構築したと発表した。

高速・大容量、低遅延、多接続が特長の5Gは、自動運転などの次世代コネクテッドカーに搭載される可能性が高い。5Gは複数のアンテナで送受信してデータ通信速度を高速化するMIMOや、特定方向に電波を集中的に向けることで通信品質を向上させるビームフォーミングで大容量通信を通信する。このため、車両に搭載すると車体による電波の反射や電子機器が放出する電磁波ノイズの影響を受け、5Gアンテナや無線機単体の性能に影響を及ぼす可能性がある。今回構築した電波暗室は、5Gを搭載した車両の通信性能を評価できる。

電波暗室では全方位測定が可能で、MIMOアンテナの通信性能やビームフォーミングを評価できる。車両をターンテーブルに載せて360度回転させながら、疑似基地局タワーを円弧状に移動させ、タワーと車両の距離も変化させて全方位で測定する。最大200の周波数ポイントを同時に測定できる。

同社のアンテナ技術者が各アンテナの詳細な測定データを解析し、複雑なMIMOアンテナやビームフォーミングの通信性能を評価して提供する。

同社では、車両のデザイン設計初期段階から、電波暗室を使って自動車メーカーと共同で評価することで、車両のデザインコンセプトと通信性能を両立する、5Gアンテナと無線機の最適な配置を支援する。