日本自動車販売協会連合会と全国軽自動車協会連合会が発表した2019年8月の新車販売台数は前年同月比6.7%増の38万8600台となった。前年を上回ったものの、1桁台の伸び率で、10月の消費税率を10%に引き上げる前の駆け込み需要は起こっていない状況だ。

8月の新車販売で、軽自動車販売は同11.5%増の14万5882台と好調で、3カ月ぶりに前年を上回った。特に乗用車が同13.0%増の11万5276台と高い伸び率だったものの、増税前の駆け込み需要ではないとの見方が強い。

10月の消費税増税では、需要の平準化策が導入されるため、モデルによっては10月以降に購入した方が税金が安くなるケースがある。このため、軽自動車の場合、ほとんどが増税前に購入した方が安いため「一部で増税前に購入した人がいた」(全軽自協)と見る。ただ、8月の販売が大幅に増加したのはダイハツの「タント」とホンダの「N-WGN」がフルモデルチェンジしたことによる新車効果だ。

8月の新車登録台数は同4.0%増の24万2718台と、2カ月連続で前年を上回った。このうち、貨物車は同23.4%増の3万9527台と大幅に増えた。バスも同32.6%増の1288台と好調。トラック、バスは法人が中心なため、一部で消費税が増税になる前に購入する動きが表面化した模様だ。個人消費が中心の乗用車は同0.8%増の20万1903台と微増で、増税前2カ月になっても需要は盛り上がっていない。マツダの「マツダ3」や、8月にマイナーチェンジした日産の「セレナ」など、一部の改良モデル、新型車は順調だった。

ホンダの「フィット」や日産の「ジューク」、マツダの「CX-30」など、今秋以降、各社が新型車を投入する計画で「消費者が増税前に購入するよりも、魅力的な新型車の投入を待っている」との見方もある。軽自動車の新型車販売は好調なこともあって、登録車は消費増税前に魅力的なモデルがないことが、駆け込み需要が発生しない原因の一つになっている模様だ。

ブランド別では、スズキが完成検査の不正問題で、生産ラインのスピードを落として減産していることから同6.9%減の4万6365台と低迷。ゴーン・ショックから販売が低迷している日産自動車は同2.4%減の4万1753台だった。