スーパー耐久シリーズ(S耐)に参戦するマツダ、トヨタ自動車、スバル、ホンダ、日産自動車のチーム関係者がタッグを組み、今年の「メディア対抗ロードスター耐久レース」に初挑戦した。脱炭素化技術の開発などに挑む中で仲間意識が芽生え、実現したという。レース自体も今年からマツダファンフェスタ内で開催されることとなり、各チームは新規定に試行錯誤しながら3時間後のゴールを目指した。
レースは同一性能のマツダ「ロードスター」を使い、1周の速さよりも燃費や効率の良さを競う。今年から舞台を筑波サーキット(茨城県下妻市)から富士スピードウェイに移し、走行時間は4時間から3時間に短縮された一方、給油が禁止に。自動車雑誌のほかマツダ、ブリヂストンなど、参加21チームは燃費と速さの両立に苦心していた。
注目を集めたのがメーカー5社のロゴがマシンに掲載された「『共挑』S耐ワイガヤクラブ」だ。垣根を超えて参戦するきっかけとなったのが、S耐の技術課題や集客、運営などを話し合う座組だ。各社はレースごとに意見交換を重ね、次第に信頼関係が生まれた。日産モータースポーツ&カスタマイズ(NMC)の木賀新一専務は「競合関係と言うが、各社が同じ悩みを抱えている。話をし合える仲間になっている」と話す。
そんな「同志」が集まった場で、スバルS耐チームの本井雅人代表が「出たいよね」とつぶやいたところ、他社も呼応し、ついに実現。本井代表は「各社それぞれに戦うのではなく、日本のメーカーとして戦っていることを知ってもらうことが重要だ」と、S耐の活動の認知拡大につなげる狙いもあると話す。
肝心のレースは、序盤こそNMCの木賀専務のドライブでトップに立ったものの、結果は13位。雨と濃霧のコンディションや、精緻な燃料管理が求められる独特の難しさに、表彰台とはならなかった。マツダの梅下隆一取締役専務CTO(最高技術責任者)とロードスターの開発メンバーがドライブした車両も6位止まり。雑誌「レブスピード」チームが制した。
同レースは昨年35回目を迎え、「最も長く続いている自動車のワンメイクシリーズ」としてギネス世界記録に認定された。36回目の今年は設えこそ変わったものの、敷居の深さやと奥深さは不変。自らレースに参戦することで、さらに絆を深めた「共挑」チーム関係者の今後の活動も注目される。
(中村 俊甫)