オンライン会見で説明する三菱ふそうのカール・デッペンCEO

日野自動車と三菱ふそうトラック・バスは10月9日、2026年4月に経営統合する新会社の社名を「ARCHION(アーチオン)」とすると発表した。統合効果を最大限に引き出すため、28年末までに国内工場を2工場減らして3工場に集約する。統合プラットフォームや購買機能の統合などスケールメリットを生かした戦略も打ち出す。

同日、オンライン記者会見で、新会社の最高経営責任者(CEO)に就く三菱ふそうのカール・デッペンCEOは「地政学的な変化や新しい関税、競合他社も台頭してきている。決意を持って前進する」と述べた。

代表取締役には、デッペンCEOと三菱ふそうのヘタル・ラリギ最高財務責任者(CFO)が就き、取締役には最高技術責任者(CTO)として日野の小木曽聡社長が就く。

国内の生産体制も見直す。日野は羽村工場(東京都羽村市)をトヨタ自動車へ移管し、トランスミッションを生産する三菱ふそうの中津工場(神奈川県愛川町)は閉鎖し、川崎製作所(川崎市中原区)に集約する。中津工場の従業員270人はグループ内で雇用を確保するという。

商品面では、大型、中型、小型トラックのプラットフォーム(車台)を統合し、コスト競争力を高めるとともに商品投入スピードを速める。パワートレインでは、親会社のダイムラートラックとトヨタが持つ技術を生かし、世界トップレベルの燃料電池システムを開発する。調達も購買機能を統合することで、スケールメリットを生かしたコスト削減を図る。

両社の経営統合は、23年5月に基本合意したが、日野の認証不正問題の対応が長引いたことを受けて24年2月に最終契約の締結を無期限延期した。その後、日野が25年1月に米当局と和解したことで、25年6月に最終合意した。