日産自動車の追浜工場(神奈川県横須賀市)が車両生産を2027年度末に終えるにあたり、同社や神奈川県など地元自治体、関連団体などが情報を共有する会議体が7月25日、発足した。雇用や取引先への影響を緩和するため、関係各所が連携し対応していく。日産は今後、取引先企業を影響度別に区分して対応する方針。生産終了後の工場の土地や設備の活用についても「きちんと考えている」との方針を示した。
追浜工場の生産終了にかかわる「関係行政機関連携本部」の第1回会議が同日、神奈川県庁(横浜市中区)で開かれ、黒岩祐治知事やイヴァン・エスピノーサ社長らが出席した。エスピノーサ社長は冒頭、「大変なご心配をおかけし改めてお詫び申し上げる」と述べた上で、従業員への支援や取引先との相談を丁寧に進める方針を改めて説明した。
約40分間の会議を終えた黒岩知事は、「一番の問題は従業員の雇用と地域経済への影響をどのように抑えるかだ」とし、傘下組織として「雇用部会」と「地域経済部会」を設置し、8月から協議を進めていく考えを示した。
また日産は、取引先を影響の大きさごとに「A、B、Cランクと分けて対応していく」(黒岩知事)方針を示したという。取引先との個別協議を経て、影響度に準じた支援を実施していく。
生産終了後の工場の活用についても話題に上がったものの、日産は「まだ何も決まっていない」とし、他社との協業による活用の選択肢は「今、可能性としてアピールすることは難しい」(同)との立場を示したという。
一方、2001年に生産を終えた村山工場跡地(東京都武蔵村山市)の活用が進んでいないことから、県側が「我々も覚悟しなければならないのか」と訪ねたところ、日産側は「そういったことについてもきちんと我々は考えている」(同)と回答したという。
黒岩知事は「国、自治体、日産自動車がしっかり情報共有しながら進めていくことで意見が一致した。生産停止は大きな出来事だが、不安を最小限に抑え、ネガティブに捉えるのではなく、もっと前向きに捉えていく流れを一緒に作っていきたいと、(意思を)確認できた」と話した。