ヤマト運輸は、国内で脱炭素化の取り組みを拡大する。2025~26年度にかけて、配送の電気自動車(EV)を新たに約6500台導入する。これにより26年度末には配送用EVの保有が1万台を超える見込み。EVの稼働電力では、太陽光発電の増設など再生可能エネルギー(再エネ)の使用率を増やしていく。合わせてトラック運送事業者向けに、EV導入や再エネ活用の支援サービスを活発化する。
地球温暖化の防止に向けてカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)の達成が世界的に求められている。国内では運輸部門が二酸化炭素(CO2)排出の2割ほどを占めるが、同社はその削減への貢献を目指し、自動車メーカーのEV拡充をにらみながら、配送用車両への導入を進めている。
24年度はEVを約2千台導入した。そして内燃機関車からEVへの代替を早めるため、今後2年間で6500台を導入する。さらに30年度までに、2万3500台をEV化する計画。現在の配送用車両数は約4万台だが、その6割に相当する規模だ。
25年3月末時点の配送用EVは約4200台。主な車種は日野「デュトロZ EV」、三菱ふそう「eキャンター」。今後はEVスタートアップからも車両を調達する考えだ。
今年9月には三菱ふそうトラック・バス、三菱自動車、米アンプルとともに、バッテリー交換式のEVトラック150台を貨物輸送に供する実証実験を実施予定。その実用化を目指している。
同社グループが配送車に使うEVトラックは、業務終了後の夜間に営業所で普通充電する形で運用していく。ただ、同じ時間帯に充電する業務用車両が増えると、夜間電力の使用量のピークが高まり電気代が高騰する恐れがある。
このため、ヤマト運輸は充電を平準化するエネルギーマネジメントシステム(EMS)を独自開発した。現在、群馬県を中心に電力使用量の平準化制御を実証中で、効果を確認後、営業所などに導入していく。
EV導入の加速に合わせて、火力発電など温室効果ガスを排出する系統電力の使用量を削減するため、再エネ活用に力を入れる。現状で営業所などに太陽光発電設備を約130基導入しているが、これを30年までに810基に増やす。これに合わせて再エネ由来の電力使用率を現在の58%から70%に引き上げる計画だ。
航続距離の課題でEVトラックに不安を持つ運送事業者の導入支援サービスの展開も本格化する。車種、充電器の選定、設備工事の手配、使用電力への再エネ利用などをサポート。地域で生み出した電力の活用にも注力する。


