電動航空機を手がける米国ベータテクノロジーズは20日、双日、ヤマトホールディングス、北九州市と、北九州空港を拠点に、電動航空機を使った貨物輸送の共同実証に向けて基本合意したと発表した。今夏にはベータの電動固定翼機(eCTOL)「アリアCTOL」を使って、北九州空港~宮崎空港間の試験飛行を目指す。

 実証では、電動航空機による貨物輸送した場合の経済合理性や、貨物を搭降載する際のオペレーションなどの運用面、充電設備などのインフラの技術面について検証する。電動航空機で貨物輸送を想定した2地点飛行を実現した場合、日本初となる。実証を通じて航空輸送での脱炭素化を目指す。

 ベータはeCTOLと電動垂直離着機(eVTOL)を開発しており、米国で米軍や医療、旅客事業者と試験飛行を継続するとともに、自社開発している急速充電設備を2024年までに米国内44カ所設置した。この急速充電器は電気自動車(EV)の充電にも対応している。

 実証で使用するアリアCTOLは、電動で空港の滑走路を離着陸する航空機で、25年末までに米国で型式証明の取得を目指している。積載量は560㌔㌘以上で、航続距離が約400㌔㍍以上。

 電動航空機は輸送中に二酸化炭素(CO2)を排出せずに効率的に貨物輸送できる手段として期待されている。