電池への不安を払しょくしEV普及を後押し

 東京海上日動火災保険は、自動車メーカーとインポーターを対象に新車の電気自動車(EV)のバッテリー向け延長保証の提供を開始した。保証距離は最大30万㌔㍍で、この水準まで対応する損害保険会社は国内で初めて。各社の要望に合わせて延長保証の内容を制度設計することが可能となっている。同社では、新車購入や長期保有における駆動用電池の不安を払しょくして、EV普及の後押しにつなげる。

 自動車メーカーなどが新車販売時に付帯しているEVバッテリー標準保証の拡充、または保証期間の終了後の延長保証を提供する。まずは新車から提供を始め、将来的には中古車やリース車にも拡充する予定だ。

 メーカー標準保証の拡充においては、バッテリーの健全度や劣化状態を表す指標「SOH」の保証容量や保証距離などを対象とする。延長保証は、「プラス1年・2万㌔㍍」または「プラス2年・4万㌔㍍」をベースに提供する。いずれもそれぞれのメーカーなどのニーズに合わせたサービスにできる。東京海上日動によると、すでに複数メーカーが導入済み、または検討中という。

 国内EV市場は緩やかに拡大傾向だが、車両価格の高さや航続距離の懸念に加え、高額なバッテリーの交換費用を不安に感じる声が個人・法人客ともに少なくない。

 一方、今後、EVでも長期保有のトレンドが高まるとみられる。同社は、バッテリーの延長保証の提供を通じ、EVを購入・保有しやすい環境整備を促進。政府が掲げている2035年までに乗用車を、40年までに商用車の新車販売をすべて電動車・脱炭素燃料車とする目標実現に貢献する考えだ。