ダイハツ工業は、2028年度をめどにダイハツ開発車(トヨタブランドを含む)の世界生産で220万台を目指す。25年度計画と比べ1割増える計算だ。高いシェアを持つインドネシアやマレーシアなどで増産するほか、新たに中南米にあるトヨタ自動車の工場でも生産を始める見通し。一方、国内生産は今の80万台規模を維持する考えだ。認証不正問題に一定の区切りがついたことを踏まえ、同社が得意とする小型車の需要が見込める新興国市場を積極的に開拓し、成長路線へと回帰する。
同社が17年に設定した中長期シナリオ「D―チャレンジ2025」では、25年にダイハツ開発車の生産で250万台を目指していた。この後、国内市場の縮小や、23年末に発覚した認証不正により、開発や認証工程を見直したことで新型車の投入期間が従来よりも遅れたことを踏まえ、新たな目標を設定した。
28年度までに新たにブラジルなどの中南米にあるトヨタの工場でダイハツ開発車の生産を始める見通し。同社は、効率的な新車開発手法「DNGA(ダイハツ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)」に基づき、軽自動車からA、Bセグメントまでの車種を一括企画し、国内外で生産している。タイではDNGA車をトヨタの現地工場で生産し、トヨタブランドで販売している。
道幅が狭い中南米では小回りが利き、安価なダイハツ製の小型車は一定の需要が見込める。このため、タイと同様にトヨタの現地工場でダイハツ開発車を生産し、トヨタブランドで販売するほか、ダイハツがインドネシアに持つカラワン工場(西ジャワ州)からも輸出する見通しだ。
一方で国内生産は、将来的な人口減少を踏まえ、25年以降も現状の80万台規模を維持する考え。25年度の計画では、6月にも新型「ムーヴ」を発売するほか、来春にも同車種のハイブリッド車(HV)を加える。これらの新型車で現状の販売規模を維持しながら開発力やサプライチェーン(供給網)を保つ考えだ。