日本人として現在唯一F1(フォーミュラワン)世界選手権に参戦する角田裕毅選手が年間王者を擁する強豪チーム、レッドブル・レーシングへ移籍することが決まった。鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)で4月6日に決勝レースが開かれるシリーズ第3戦、日本グランプリからレッドブルのマシンを駆る。同チームやホンダが27日に発表した。
角田選手はF1参戦5年目。ホンダの育成ドライバーとして鈴鹿サーキットで腕を磨き、現在も同社とスポンサー契約を結んでいる。F1では一貫してレッドブルグループのサブチーム(今季チーム名は「レーシングブルズ」)に所属している。今季は開幕戦で予選5番手を獲得するなど好調さをアピールしており、晴れてトップチームへの「昇格」を果たした。
レッドブルは2021年から4年連続で年間王者に輝いているマックス・フェルスタッペン選手(オランダ)が所属している。これまでホンダ製パワーユニット(PU)を搭載し、同社は21年のF1撤退後も技術支援を続けている。今季は開幕戦こそ2位に入ったものの、角田選手と入れ替わるリアム・ローソン選手(ニュージーランド)の成績不振が響き、製造者部門の年間ランキングは3位と出遅れた。
レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は「角田選手の経験が現在のマシンの開発に大いに役立つはずだ」と、競争力強化に期待を寄せた。ホンダのレース事業会社ホンダ・レーシングの渡辺康治社長は「大きく成長した角田選手がレッドブルから参戦することを嬉しく思う。彼のこれからの活躍に大いに期待する」とコメントを寄せた。
レッドブルの今季型マシンは性能を引き出すことが難しいと指摘されている。一方、ホンダは来期からアストン・マーティンへのPU供給で復帰を予定しており、レッドブルグループとの関係性も途切れることに。今回の抜擢は、角田選手にとっても今後のキャリアを左右するターニングポイントとなりそうだ。