韓国・ヒョンデグループは24日、2028年までに米国に210億㌦(約3兆2千億円)を投じると発表した。完成車の年産能力を120万台(24年実績は約70万台)に増やすほか、新製鉄工場などサプライチェーン(供給網)の整備にも資金を投じる。トランプ米政権の関税政策は不透明だが、現地生産体制を拡充し、将来にわたり関税リスクの回避を図る。

 鄭義宣(チョン・ウィソン)会長が同日、米ホワイトハウスを訪れ、トランプ大統領ら政府関係者の前で発表した。210億㌦のうち、90億㌦を完成車工場の生産能力増強や品質改善、60億㌦をサプライチェーンの整備、60億㌦を自動運転などの研究開発に投じる。サプライチェーン関連では傘下の現代製鉄が同社として初めて米国に年間270万㌧の鋼材を生産できる製鉄所をルイジアナ州に新設する。自動運転関連では米ウェイモにロボタクシーを供給するほか、アプティブと自動運転サービスを共同開発する。このほか、ロボットや人工知能(AI)、航空事業の研究開発を米国のパートナー企業と進める。一連の投資で約1万4千人の新規雇用を創出するという。

 グループの中核会社であるヒョンデは昨夏、30年までに世界の新車販売を23年実績の3割増となる555万台に増やす中計を掲げた。10年間で120兆5千億㌆(約12兆5千億円)を投じ、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)のラインアップ拡充を図る。米国を主力市場の一つに位置付けており、ジョージア州の工場でEVやHVの現地生産を進める方針だ。