日本自動車工業会(自工会)の片山正則会長は19日に開いた会見で、トランプ米政権が自動車に対する追加関税を発動した場合、部品メーカーなどに対する支援策を官民で検討する必要性を指摘した。トランプ政権が示す25%前後の関税がかかった場合、自動車メーカーによっては生産調整を余儀なくされる可能性があるという。片山会長は「(部品供給網の)構造が一度壊れると取り返しがつかない」と理由を説明した。会見ではまた、10月の「ジャパンモビリティショー(JMS)」について、100万人の来場者を目指す考えを三部敏宏副会長が明らかにした。
片山会長は「われわれはあくまで関税回避を求める。ただ、政府間交渉のため、どのタイミングで解決するかは分からない」と述べ、追加関税の影響緩和に向けた対策の必要性を指摘した。「生産調整を余儀なくされた時、どこが痛んでどこを手当てしなければいけないか。官民で何をすべきかだ」とも語った。同日開いた経済産業省との懇談会でも検討を求めたという。
トランプ米政権は4月2日に日本を含めた外国からの輸入車両に25%前後の追加関税を発動する方針。経産省の武藤容治大臣は10日、米国の担当閣僚と会談し、日本の適用除外を求めたが、具体的な成果は得られなかった。
政府は追加関税の回避に向けた交渉を継続するものの、一時的にでも関税が大幅に引き上がれば自動車メーカー以上に中小の部品メーカーは大きな影響を受ける可能性がある。片山会長は「短期的なショックをどう吸収するか」とも提起した。
会見ではまた、適正取引や型式指定問題に対する取り組みの進ちょく、JMSの開催方針についても言及があった。JMSについて、三部副会長は「前回は100万人以上を動員できた。今回も100万人が楽しめる国民的イベントとして定着させることを目指したい」と語った。開催概要は6月をめどに発表する予定だ。
このほか、同日開いた理事会で、3月25日にヤマハ発動機の社長に昇格する設楽元文副社長が渡部克明社長に代わって自工会の副会長に就任したことを発表。設楽副会長はクリーンエネルギーやデータ連携、二輪車委員会を担当する。