帝国データバンクが発表した「道路貨物運送業の倒産動向調査」によると、2024年度の倒産件数が25年2月末時点で328件となり、23年度通年(317件)を上回った。同社は「このままのペースで推移すれば(24年度通年で)360件前後の倒産が見込まれ、リーマンショック時の371件に迫る厳しい状況になりそうだ」との見通しを示した。
倒産要因は主に「人手不足」および「燃料価格の上昇」の影響が大きいと分析。人手不足による倒産件数は全業種合計で308件で、このうち道路貨物運送業者は12.3%(38件)を占め、厳しい経営環境が浮かび上がった。
ドライバー不足の改善の兆しは不透明な状況にある。24年12月の有効求人倍率は全業種平均が1.22倍だが、自動車運転従事者は2.82倍と非常に高く、ここでも厳しい状況が示された。
10日に都内で開催された「物流の2024年問題に関する説明会」でも、関東トラック協会の水野功会長が「『物流の2024年問題』を解決する上でも、トラックドライバーの確保と処遇改善が必要不可欠だ」とし、関係省庁に向けて改めて協力を要請した。
物価高倒産も深刻だ。全倒産件数841件のうち道路貨物運送業者は13.8%(116件)を占め、そのうち9割が「燃料価格の上昇」が要因としていた。燃料価格については25年1月の〝ガソリン補助金〟縮小によって、軽油も小売価格も高水準にあり、経営が大きく圧迫されている。
同社は「荷主と一体となり運賃そのものを引き上げたり、再委託構造を改善し価格転嫁率を上昇させるなど、抜本的な対策が待ったなしの状況だ」と指摘する。すでに物流の2024年問題で危機的な状況が懸念されている中、運送事業者の倒産が続けば、日本経済のさらなる深刻化につながりかねない。
関東運輸局の藤田礼子局長は「何も対策を講じなければ物流の停滞が生じかねない状態だ」と述べ、打開策の模索に力を入れていくとした。