日産自動車は11月7日、3000億円の黒字としていた2025年3月期の当期純利益見通しを「未定」に修正した。人員削減などを盛り込んだ新たな事業構造計画が業績に与える影響が合理的に算定できないため。売上高と営業利益の見通しも引き下げた。対ドルの為替レートを円高に見直したことに加えて、米国での販売費用の増加などが利益を押し下げる。グローバル販売計画も25万台少ない340万台に引き下げた。24年4~9月も営業利益、当期純利益ともに前年同期から9割減の大幅減益となった。内田誠社長は同日開いた決算説明会で「市場環境の変化と当社固有の課題が大きく影響した」と総括した。

4~9月期の売上高は、前年同期比1.3%減の5兆9842億円、営業利益は同90.2%減の329億円、当期純利益は同93.5%減の192億円だった。グローバル販売台数が、中国や日本、米国での低迷で同1.6%減の159万6000台と減少したほか、販売費用の増加やインフレ費用の上昇などで利益が悪化した。販売費用の増加は業界共通の課題だが、米国ではトヨタ自動車やホンダのようにハイブリッド車を展開できていない点が収益性のさらなる悪化を招いた。前期に5円だった中間配当も無配とした。

通期の業績予想は、売上高が12兆7000億円(従来予想比1兆3000億円減)、営業利益は1500億円(同3500億円減)に下方修正した。通期のドル円の想定レートは、1ドル=155円から149円と円高方向に修正した。

(2024/11/8修正)