日産自動車は11月7日、グローバルで9000人の人員を削減すると発表した。同社は世界に13万人超の従業員を抱えているが、対象地域などは非公表。また、同社は2026年度までの3カ年の中期経営計画で、23年度の世界販売台数の約344万台から100万台の上積みを目指していた。今後、事業の構造改革を進めることで、26年度までに350万台程度と23年度とほぼ同じ水準でも持続的な収益性やキャッシュを確保できる体制を目指す。同社の業績は、中国での販売減や米国市場での競争激化などで低迷している。世界で生産能力を20%減らすことなどにも着手し、固定費3000億円の削減を目指す。
2024年4~9月期の連結決算では、営業利益が前年同期比90.2%減の329億円の大幅な減益となった。競合他社は主力市場の米国でハイブリッド車(HV)の販売が好調だが、日産はラインアップを持っていない。加えて、中国で電気自動車(EV)をはじめとする新エネルギー車(NEV)の価格競争が激化していることが響いた。売上高は同1.3%減の5兆9842億円だった。
構造改革では販売管理費の削減や設備投資の優先順位を見直し、業績改善を急ぐ。中長期ではルノーやホンダ、三菱自動車との戦略的パートナーシップの推進で、投資効率や商品競争力を高める。こうした取り組みを円滑に進めるため、25年1月に役員体制も見直す。
経営陣の責任も明確にし、内田誠社長は報酬を11月から50%返上する。そのほかの経営幹部も内田社長に準じ、報酬の自主返上を行う。
同日開いた決算会見で内田社長は「3月に中期経営計画を発表したが(目標値を)見直さざるを得ない状況」とした。同社は26年度までの3カ年の中計で、23年度実績に比べて世界販売台数を100万台増(同年度は344万台)、営業利益率6%以上(同4.5%)を掲げていたが、取り下げることとなった。
構造改革に必要なコストは精査中としている。