自賠証の備え付け義務違反が懸念される電動キックボード

 国土交通省は、自動車損害賠償責任保険証・自動車損害賠償責任共済証明書(自賠証)を電子化できる対象をすべての自動車に広げる。電子自賠証をスマートフォンなどの端末に携行することで、自動車損害賠償保障法(自賠法)に定める備え付け義務と提示義務を履行できることとする。「自賠法e―文書規則」を一部改正して、10月ごろに公布、11月上旬に施行する予定だ。

 電子自賠証については、電動キックボードなど小型モビリティで車体構造上、書面の自賠証の備え付けが難しい自動車に限って6月から認めている。自賠証の備え付け義務違反が懸念されるためだ。

 今回、電子自賠証の対象を広げたのは、保険業界から「すべての自動車で可能として欲しい」との要望を受けたもの。複数の損害保険会社で開発・運用する共同データベースで電子自賠証の交付が可能となったことも理由という。引き続き、書面による自賠証の備え付け・提示も可能だ。

 「自動車損害賠償保障法に係る民間事業者などが行う書面の保存などにおける情報通信の技術の利用に関する法律施行規則の一部を改正する省令案」として、10月18日まで意見募集(パブリックコメント)を実施した後、施行する予定だ。