ミニバンタイプのEV「ZEEKR 009」
「日本市場への挑戦は意味があること」と話す陳萬(マーズ・チェン)副社長

【中国・浙江省=野元政宏】中国・浙江吉利汽車(ジーリー)グループで電気自動車(EV)を手がけるZEEKR(ジーカー)の海外販売を統括する陳萬(マーズ・チェン)副社長は、日刊自動車新聞社などのインタビューに応じ、欧州市場で中国生産車の関税引き上げに対処するため、ジーカーとLynk&Co(リンクアンドコー)の2ブランドのEVを現地生産する方針を明らかにした。生産場所の選定を急いでおり、早期にEVを現地生産する方針だ。

欧州連合(EU)は、7月から中国製のEVに対してブランドごとに最大37.6%の追加関税を課した。現在は暫定措置だが、中国政府から不当な補助金を得ていないかの調査が終了後、正式な関税に移行する可能性がある。ジーカーなどの吉利汽車グループのEVの販売にもマイナスの影響が及ぶ見通し。

チェン副社長は「欧州現地のパートナー企業とともに、欧州域内でEVの現地生産に向けて工場を新設する場所について検討している」と語り、早期に現地生産体制を構築する方針を示した。

欧州域内に新設する工場ではジーカーに加え、吉利汽車とボルボ・カーズの合弁会社で若年層向けモデルを手がけるリンクアンドコーのEVを生産する計画だ。

チェン副社長はまた、ジーカーがEV販売比率の低い日本市場に2025年暮れに参入することについて「ジーカーを含め、EVのプレミアムブランドが日本市場で挑戦するのは意味のあることだ」と述べ、市場開拓に自信も示した。

日本市場に投入するモデルは検討中だが、ミニバンタイプのEV「009」と小型SUVタイプのEV「X」が有力という。EV専業のジーカーが25年に中国市場に投入する予定の大型SUVタイプのハイブリッド車(HV)も、将来的に日本市場に投入する可能性があるという。