本紙の取材に応じる南社長
日米でレベル4運行の事業化を目指す(米国の実証車両)

 いすゞ自動車は、一般道を含めた普通トラックの自動運転「レベル4(特定条件下における完全自動運転)」の実証を2026年に国内で始める。普トラが一般道をレベル4走行するのは国内初とみられる。中核技術のソフトウエアでは新たに組む米アプライド・インテュイションの技術を用いる。いすゞは、27年度から幹線輸送や路線バスの自動運転事業を日米で始める考えだ。

 南真介社長が26日までに日刊自動車新聞のインタビューに応じて明らかにした。普トラのレベル4走行は、主に都市間輸送を想定する。高速道路上は政府が整備する「自動運転サービス支援道」を走り、インターチェンジ(IC)出口から物流施設までの一般道もレベル4で走れるようにする。当面は緊急時に対処するドライバーを同乗させるが、将来の無人化も念頭に入れ開発する。いすゞとして、自社の補修部品物流にも用いつつ、コネクテッドサービスと組み合わせることで、予防整備や待機時間の削減など、運行効率をさらに高める工夫を検討していく考えだ。

 いすゞは、中期経営計画でレベル4自動運転の事業化方針を打ち出した。イスラエルのフォーテリックス、自動運転車による物流事業を手掛ける米ガティックに出資するほか、ティアフォー(加藤真平社長、東京都品川区)とは神奈川県平塚市内や福岡空港(福岡市博多区)内を走行する自動運転バスの事業化を目指している。アプライドを含めた4社のスタートアップと組み、最新技術を取り込んで完成度を高めていく。収益貢献は30年代半ば以降とみているが、コネクテッドサービスや電動化とともに1兆円規模の増収効果を見込む。

 商用車の自動運転事業をめぐっては、独ダイムラー・トラックが27年までにレベル4車両を米国に投入し、30年には売上高30億ユーロ(約4800億円)以上を目指す。国内でも、三井物産などが出資するT2(森本成城代表、東京都千代田区)が24年10月から、東京~大阪間の高速道路上での幹線輸送の実証を佐川急便などと始める。米国に本拠を置くトゥーシンプルも東名高速などで技術実証を重ねている。