新事業で「30年代に1兆円規模の収益を実現する」と語る南真介社長

 いすゞ自動車は3日、自動運転やコネクテッド、カーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)などの新事業で2030年代に1兆円規模の売上高を目指すと発表した。トラック・バスの「レベル4」(特定条件下における完全自動運転)や、バッテリー交換式商用電気自動車(EV)などの実用化を目指す。新事業には30年度までに1兆円を投じる計画だ。

 同日、31年3月期まで7カ年の中期経営計画を発表した。南真介社長は「イノベーション投資を確実に進め、30年代に1兆円規模の収益を実現する」と語った。

 自動運転では、27年度から高速道路での主要拠点間の輸送や路線バスの自動運転事業を日米で開始する。24年から技術やサービスの開発を始め、26年から協業先とモニター実証を始める計画だ。社内に専門組織も立ち上げる。

 車両のカーボンニュートラルでは交換式バッテリーの実用化を目指す。25年度までに日本で実証に着手する。トヨタ自動車が主導するCJPT(コマーシャル・ジャパン・パートナーシップ・テクノロジーズ)の枠組みを活用し、タイでも実証を始める。

 新中計では、売上高6兆円、営業利益率10%以上、世界販売台数は85万台以上を目指す。重点地域と位置づける日米や東南アジア諸国連合(ASEAN)で年産能力を80万台から100万台へと増強する。南社長は「日本は輸出向けが増えることに加え、人口減少で生産効率化などの設備を整える」と説明した。

 重点地域などの投資については、中計期間中に1兆6千億円を設定。業務のデジタル・トランスフォーメーション(DX)化なども進め、経営効率を高めていく。