損害保険大手4社が法人向け共同保険の保険料を事前調整していた問題で、京成電鉄と東京都の保険をめぐって独占禁止法違反(不当な取引制限)にあたる価格調整(カルテル)や談合を行っていたとして、公正取引委員会が排除措置命令と課徴金の合計約1億5千万円の納付を4社に求める方針を固めた。関係者への取材で8月5日、わかった。

一連の問題で課徴金は初めて。公取委は2日付で各社に通知しており、各社の反論を聞いてから正式に決める。

4社は東京海上日動火災保険、損害保険ジャパン、三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険。

京成電鉄向けの共同保険では4社でカルテルをしていた。また、東京都の公用車の自動車保険の入札では、あいおいニッセイ同和損保を除く3社が、価格や受注企業を損保ジャパンに決める談合を行っていた。

公取委は7月上旬、東急グループと仙台空港の運営会社「仙台国際空港」向けのカルテルで排除命令を出す方針を各社に示したが、まだ正式には決まっていない。このケースでは内容などから課徴金納付命令は出ていない。

一連のカルテル問題では、コスモエネルギーホールディングス・コスモ石油、JERA(奥田久栄社長、東京都中央区)、エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC、高原一郎理事長、東京都港区)、シャープ(沖津雅浩社長、堺市堺区)など、別の企業や団体の保険についても公取委が調査している。これらについても今後順次処分方針が示される予定で、課徴金納付命令が出る見込みだ。

(編集委員・小山田 研慈)