損害保険大手4社の情報漏洩問題で、金融庁が保険業法と個人情報保護法に基づく報告徴求命令を7月22日に4社に出していたことがわかった。4社は損害保険ジャパン、東京海上日動火災保険、三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険。

4社の顧客契約情報が、乗合保険代理店を兼ねる自動車ディーラーを通じて競合他社に漏洩し、事実上共有・黙認されていたことが5月下旬に各社によって公表された。関与した代理店はのべ833(公表当時)で、この件について報告を求めた。

さらに、この件の調査の過程で新たな漏洩も発覚した。損保ジャパンから保険代理店への出向者が、出身母体の損保ジャパンに対して他社の顧客情報などを漏洩していたことが2つの代理店で7月中旬に判明。損保ジャパンは23日に合計9つの代理店で漏洩があったと公表した。また、東京海上日動も同日、同様の情報漏洩が1つの代理店であったと公表した。

金融庁は、これらの件についても各社の状況を確認し、規模や組織ぐるみであったのかを解明する狙いがあるとみられる。

なお、三井住友海上とあいおいニッセイ同和損保は、現時点で同様の情報漏洩は見つかっていないとしている。

損保大手4社は2023年夏以降、法人向け共同保険の価格調整(カルテル)問題と旧ビッグモーターの自動車保険金の不正請求問題で金融庁から報告徴求命令を受けた。23年12月にカルテル問題で4社が、24年1月には旧ビッグモーター問題で損保ジャパンが行政処分を受けており、損保ジャパンは2カ月連続での処分となった。

(編集委員・小山田 研慈)

(2024/7/23更新)