テスト車両の前で、CBMMのリカルド・リマCEO(右)とVWトラック・アンド・バスのアントニオ・ロベルト・コルテスCEO

 東芝と双日、ブラジルのニオブ(Nb)生産会社CBMMの3社は、新型リチウムイオン電池(LIB)を共同開発し、電気自動車バス(EVバス)に搭載して走行実験を開始したと発表した。負極にニオブチタン酸化物(NTO)を用い、約10分で80%の急速充電を可能にした新型電池で、その実力を世界初の実車走行で検証し、2025年春の販売開始を目指す。

 実験車両は、フォルクスワーゲン(VW)グループの電気自動車バス(EVバス)の試作車で、CBMMが権益を所有するブラジル・ミナスジェライス州アラシャ鉱山で走行する。

 NTOは黒鉛と比べて2倍の理論体積密度を持つ素材。LIBの負極に使用した場合、充電特性の改善に加えて、350㍗時/㍑のエネルギー密度確保と発火・爆発リスク低減、1万回の充放電サイクルで80%以上の容量回復率、セ氏マイナス30度の極低温化での充放電が可能になるなど、従来電池のさまざまな弱点を解消できるという。

 3社は18年にNTOを用いたLIB電池負極材の共同開発契約を結び、商用EVへの適用に向けて実用化に取り組んでいる。