日本製鉄は5月3日、米国鉄鋼大手のUSスチールの買収手続き完了時期をこれまでの2024年9月末までから12月末までに延期すると発表した。米司法省により反トラスト法の審査に関する追加資料の提出などを求められ、関係当局の承認時期を精査した結果とする。日鉄は「引き続き関係当局の審査に全面的に協力し、強い決意で本買収を完了させる」としている。

USスチールの買収については、今年4月12日にUSスチールが開催した臨時株主総会で承認されている。買収価格は、当初合意した価格に4割上乗せした141億ドル(約2兆1千億円)で、USスチールの株主の98%が賛成した。

ただ、全米鉄鋼労働組合(USW)が外資である日鉄の買収に明確に反対しているのに加えて、11月の米国大統領選を控えて、バイデン大統領もUSWに配慮して買収に消極的な見方を示す。さらにトランプ元大統領も買収に厳しい意見を発信している。その中で、規制当局の承認が次の関門となっている。

日鉄のUSスチール買収が実現すれば、両社合計の粗鋼生産能力は年間約5900万トンと、世界3位の鉄鋼メーカーグループとなる。実現すれば日本の自動車メーカーには米国での鋼材の調達先が広がるメリットがある。